持続エクスポージャー療法はPTSDに対する治療法として各種ガイドラインでももっとも強く推奨された治療法であり、⽇本でも平成28年4⽉からは保険適応になっています。私たちはFoa先⽣の御承認のもとにPEの普及のためにPE-Japanを設⽴し、ワークショップを公認し、情報を提供してきました。この度、公認ワークショップが下記の通り開催されますのでおしらせいたします。実際の患者の治療ビデオを呈⽰しながら実践的な研修にしたいと考えております。皆様のご参加をお待ちしております。

■期間
2017年8⽉22日(⽕)13時〜19時
2017年8月23日(⽔)9時半〜19時
2017年8月24日(⽊)9時半〜19時
2017年8月25日(⾦)9時半〜15時

■会費
4⽇間参加者 6万円 (PE WS 24時間およびPTSDの診断評価 2時間)

■会場
公益財団法⼈ウェスレー財団
東京都港区南⻘⼭6-10-11
電話番号:03-6427-4696
[地図はコチラ]

■講師
⾦吉晴(Foa教授による認定WS指導者)
中⼭未知・⼤滝涼⼦(Foa教授による認定PEスーパーバイザー)

■定員
20名程度

■申し込み⽅法
件名を「参加申し込み」として、
ws@pe-jp.org(事務局 染⾕)に ⽒名、臨床資格、所属(名称と住所)、職名、
推薦者(必須ではありません。推薦者がいる場合にはその⽅をCCにしてお申し込み下さい)を
ご明記のうえお申込みください。

■申し込み期限
2017年7⽉10⽇
※お問い合わせは件名を「お問い合わせ」としてお送り下さい。
ws@pe-jp.org

[講師紹介]
⾦吉晴
国⽴精神神経医療研究センター部⻑、災害時こころの情報⽀援センター⻑、
国際トラウマティックストレス学会理事、⽇本トラウマティックストレス学会理事・編集委員⻑。
初めてFoa 教授を⽇本に招聘して持続エクスポージャー療法を導⼊し、PE のマニュアル、
ワークブックを監訳(星和書店)し、ペンシルバニア⼤学Foa 教授と共同研究覚え書き(MOU)を
締結するなど連携を深めている。

中⼭未知
東京⼥⼦医科⼤学⼥性⽣涯健康センターにて多くのPE を実施。

⼤滝涼⼦
国⽴精神神経医療研究センターにてPE の治療研究に従事。

[参考資料]
「PTSD の持続エクスポージャー療法」. 同ワークブック。
「⻘年期PTSD の持続エクスポージャー療法」。同ワークブック(いずれも⾦吉晴他監訳。星和書店)

解説:PE とはなにか

■意義
PE は、もっとも良く研究され、世界中で実績のあるPTSD の治療法です。
⽶国の学術会議からは治療効果が⼗分に証明されている唯⼀の治療法(EMDR, CPT、各種薬物療法などはすべて不⼗分とされました)であると認められ、国際トラウマティックストレス学会ガイドライン等でも第⼀選択として推奨されています。
⽇本でもRCT が2 本終了しており、平成16 年4 ⽉より、保険適応も認められています。

■特徴
PE は患者と治療者が⼀緒になってトラウマ記憶の中に分け⼊り、⼀緒に回復の道筋を辿り直す治療と⾔えます。
怖い、つらいと思っていたトラウマ記憶の向こう側に、安全で安⼼できる可能性を⾒出していく治療と⾔っても良いでしょう。
患者にとってつらいのはPTSD という病気そのものです。患者はたったひとりでフラッシュバックに苦しんでいます。
その体験を治療の中で受け⽌めて貰い、治療者への信頼と、⾃分への⾃信、
過去の記憶と今ここの安全性の区別を確かめていくことは⾮常に⼤きな助けになります。

具体的には30 分以上をかけてトラウマを思い出し、患者のペースで徐々に⾔葉にしていき、
避けていた⾃分の感情に触れるようにします。この体験を通じて、不安が軽減するとともに、
トラウマは過去のものである、⾃分にはトラウマに触れる⼒がある、などの認識が深まります。
また現実⽣活で避けている場⾯に30 分以上触れることにより、不安が軽減し、活動の範囲が広がります。
いすれも、こうした取り組みにどのような意味があり、何が変わったのかを治療者としっかりと話し合うことが重要です。

トラウマの記憶にふれることによって、記憶や世界、⾃分⾃⾝についての⾒⽅が変わり、
本当の⾃分らしさを取り戻すことが治療の⽬標です。PE では認知についての話し合いも⾏われますし、
否定的認知についての専⽤の尺度も作成されており、その改善はPE の重要な効果指標です。

■つらい治療?
残念なことですが、PE はつらい治療であると、ことさらにネガティブな発⾔をされている専⾨家がいます。
そのような⽅はPE を正式に学ばれたことがありません。私たちのワークショップには、
たとえばEMDR をされていた先⽣が参加されたことがありますが、PE についてのイメージが全く変わった、と⾔われています。

患者のつらさの原因はPTSD です。患者にとっての最⼤の不利益は、PTSD が治らないことです。
PE は決して万能の治療ではありませんが、現時点では、PTSD に対する治療効果がもっとも良く実証されている治療法です。
1.5 を超える効果量(effect size)は薬物療法(0.5 未満)を遙かに上回り、
精神医療の短期的な治療の中ではもっとも⼤きな効果を⽰していると⾔えます。
ことさらにネガティブな発⾔をされて、患者から治療機会を奪ってしまうことは、
患者をよりつらい⽬に遭わせていることになりかねません。

もちろん、トラウマの記憶に触れる以上はある程度の負担は⽣じます。
しかしそれは、EMDRやCPT など他の治療においても⽣じることです。
PE のドロップアウト率は、他のトラウマのCBT とほとんど変わりません。
EMDR の直後にパニック発作をおこして帰宅できなかった患者をPE で治療し、
治癒できたケースもあります。⼤切なことは患者に対してできるだけ多くの有効な治療を提供することであり、
PE はそのための重要な選択肢であると考えられます。

■研修指導体制
WS に出席されてすぐにPE を実施されている先⽣もおられますが、それではなかなかうまく⾏きません。
最初の2 例について、1セッション毎のスーパーバイズ(SV)を有資格者から受けることが必要です。
様々に変化する患者に対して、どのようにしっかりと⽀えながら、治療原理を守っていくのかを学びます。
現在では、多くの治療者にSV を提供できる所まで体制が整ってきました。
またSV のスキルが向上したことにより、過去3 年間では、SV を受けながら実施した初めてのPE でも
90%以上が臨床上有意な改善をしています。

■研修会の後で必ずPE をしないといけないのでしょうか
PE は治療者にとっても負担の⼤きな治療ですので、実際にはWS に参加された⽅の全員がPEをされている訳ではありません。
しかしながら、WS を通じてトラウマを受けた患者への基本的な接し⽅を学び、
トラウマの話をどのように受け⽌め、関わるのか、そして何よりもPTSD からの回復の道筋を明確に学ぶことは、
⽇々の臨床の中でも⼤きな意味があるものと思います。

■さいごに
「⾃分のビデオを使って欲しい」。私たちが治療をした患者さんのほとんどが、
そのように⾔われています(情報守秘についての制約あり)。
ビデオでは個⼈的なトラウマ体験が詳しく語られていますが、⾃分がPE によって回復したことを喜び、
苦しんでいる他の患者の⽅々も救って欲しいという気持ちから、研修会でのビデオ使⽤を許可されています。
もし、PE が単に苦しいだけの治療でしたら、決してこのような気持ちにはならないことでしょう。
私たちはこうした患者たちの気持ちに応えるためにも、PE の有効な普及と実線を通じて、
多くの患者たちのトラウマからの回復のお役に⽴ちたいと思っています。
これまで治療をしてきた患者さんの中には、数年間、時には10 年以上もトラウマに苦しんでこられた⽅が少なくありません。
あるいはPTSD症状に苦しみながら仕事や家庭⽣活をしてこられた⽅も多くおられます。
こうした⽅々が適切な治療を受け、苦しみが軽減されるように、皆様とお⼒を合わせて参りたいと思います。